1Rの彼女
『結子ちゃんの生活が落ち着くまで、拓馬の家に住んでいいわよ。』


ふざけるな。冗談じゃない。

と言いたいところだが、家賃を親に出してもらっているため、強くは言えない…。
親のおかげで大学にもいけてるわけだし…。



俺には少し年の離れた兄・謙吾がいる。
しっかり者で、一流企業に勤めている。

結子さんのアパートと兄貴の家もそう離れていないのに。
なんで俺のところなんだよ。
兄貴の家のほうが広いし、セキュリティもしっかりしている。
普通、そっちを勧めるだろ?


「ケンちゃんは帰りが遅くて出張も多く、家も空けることがあるし、彼女がいい顔しないでしょ。タクは家と大学とバイト先と行動範囲は狭いし、彼女もいないから誤解される心配はないし。タクの性格から、溜まり場にはさせないし、適度にキレイにしてあるからちょうど良いって、おばさんが言ってたよ。」


あの母親。そんなことまで言ってたとは。

彼女いなくて悪かったな。
ちょっと前まではいたんだよ。
こんなことになるなら、作っとけばよかった…。



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