1Rの彼女
なーんて、絶対無理だよなぁ…。
俺、そんな能力ないもん。

可愛く拗ねてみたけど、状況なんて変わらない。


「ねぇ、タク。誰?誰?」

俺の袖をグイグイとひっぱる。
見ず知らずの人が、こんなことするわけないよな…。


「大学の…友だち。」

「成沢結子です。いつもタクがお世話になってます。」


康介は、まだ驚いている。
結子さんに話しかけられ、やっと正気に戻ったみたいだ。

「あ、瀬戸康介っす。いや~、すっごい美人っすね~。みとれちゃいましたよ~。」

「キミ、お世辞上手いねぇ。」

「いやいや、本当っすよ。」


康介の言葉に、場が和んだ気がした。
このまま、さら~っと居なくなってしまいたい。


そんな俺の心を読んだのか。
結子さんの一言。


「タク、今日は何時に家に帰るの?」





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