１Ｒの彼女

ポケットをごそごそしている。

何か出すのか？
そもそも何で手ぶらなんだ？
女の子なら、普通小さいバッグなんか持って歩くだろ？


「じゃじゃーん☆」

黄門様の印籠を見せるかのよう。
得意気な結子さん。
俺の目の前に差し出されたもの。


学生証。


「何それ…？」

「学生証♪タク忘れてったでしょ？無いと困るだろうなぁ〜って思って。」


にこにこしながら、学生証を見ている。

「タクこの写真、イケてないね〜。実物はもっと良いのに。」


そんな事のために…？
学生証なんて無くても困んないだろ？

「結子さん、たぶん使わないと思うけど…。」


結子さんの顔が一瞬曇った。
唇はアヒル口になった。

俺、きつい事言った？
泣かせる…？