1Rの彼女
いきなり話しかけてきた結子さんに、亜希は驚いているようだった。

「えっと…。」

「いつもタクがお世話になってます。」


一体、何言い出すんだよ。

「この人、うちの母親の友人の子なんだ。たまに俺のところに遊びにきてるんだ。」

半分本当で、半分嘘。
まさか、元カノでも本当のことは言いづらい。
『一緒に暮らしてる』なんて。


「そうなんだ…。私、てっきり彼女なのかと思っちゃった。あの、吉村亜希です。拓馬くんとは学科が一緒で…。」



腕時計を見る亜希。

「次、授業だから私行くね。それじゃ、またね。」


俺と康介には手を振り、結子さんに会釈をして、亜希は行ってしまった。



ぼそりと康介が一言。

「新旧対決☆かぁ~。」


亜希が居なくなった後のこの微妙な空気。
誰かなんとかしてくれ…。

俺は、なんとなく結子さんの顔を見るのが怖かった…。





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