1Rの彼女
間一髪☆
出ていく寸前の結子さんの腕を掴めた。
俺も息が荒くなる。


「あのっ…、デザートの…杏仁豆腐…出すの忘れてたんです…。食べませんか…?」

今の俺、いっちゃってる顔だと思う。
きっと目は血走って。
それでも俺には、結子さんを止めるという使命があるんだ!!


「杏仁…豆腐…?」

お願いだ。結子さん、行かないでくれ!!


「やだもータクってば。早く出してよ~。杏仁豆腐!!食べたい♪食べたい♪♪」


拍子抜けするほどの、変わりよう。


「も~、タクってば独り占めしようとしたんでしょ~?」

幸せそうにほおばる結子さん。時折「美味しいね~♪」なんて言ってくる。
食べ終わった最後の一言。


「タクってば、アタシのこと焦らして楽しんでるんでしょ?」


神様…。
いるのなら、この人の自由人っぷりをほんの少しでもいいので、治してください。


結子さん…。
焦らして楽しんでるのは、あなたのほうです。








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