加納欄の記憶喪失 シリーズ5
 次の日から、あたしには南署で内勤の仕事が、待っていた。

 とにかく膨大な量の犯罪者リストを片っ端からめくって、少しでも引っ掛かったらリストにあげていく、簡単な仕事だけど、量は半端じゃなかった。

半日ツブレル。って思ってたけど、1日で終わるか不安になってきた。

 1日目が過ぎ、2日目と日にちは瞬く間に過ぎていった。

 今日は、通院の日だった。

 内勤4日目、1日も外の仕事にはつかせてもらえなかった。

 大山先輩にも、会わずじまいだった。

 内勤は、ある意味大山先輩のことを考えられない状態だったので、良かったような・・・。

 病院の検査が終わり、大山先輩の所に行こうか、悩んだ。

 会いたくないわけではない。

 ちゃんと話せるか、また、ぎこちなくなるのか、不安な思いと、微妙な緊張感が頭をよぎった。

 結局は行くことにした。

だって、会いたいんだもん。

そろそろバレンタインだし、去年好評だった、チョコプリン。今年もそれでいいか、今年は違うのがいいか、話の話題にしてみようと思った。

 大山先輩の病室の前に立ち、静かに入ってみた。

 ノックはしなかった。

 と、いうより、忘れてた。

 入った瞬間に、目に飛び込んで来たのは、大山先輩と女性のキスシーン。


!!!!!!!


 大山先輩がこっち向いて、女の人が向こう向いてて。

 女の人の背中だけが、あたしの方を向いてて・・・。

 体制も少し前屈みで、真横から見てるわけじゃないけど、これって絶対キスしてる!


に、逃げなきゃ(>_<)


 後ろに1歩下がった時に、その女性が振り向いた。


え?


祥子先輩!?


「あぁあの、すみませんっ!ノックも無しに!帰ります!」

 慌てて、出て行こうとしたら。

「待って!誤解してる!」

祥子先輩が、慌ててあたしの腕を取った。

「・・・誤解、で?」


すか?


「誤解、してない?今の状況を」

あたしは、祥子先輩と大山先輩を交互に見た。

「たぶん、してます」

 祥子先輩を見ながら話した。


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