加納欄の記憶喪失 シリーズ5
「聞きこみと、もう1度現場見たかっただけですけど?どうかしたんですか?」

 まるで、何事もなかったかのように、話してやった。

 高遠先輩は、あたしの所に来ると、右手で、あたしの頬を張り倒した。

 あたしを含め、高遠先輩以外の人が、キョトンとなった。

 一瞬放心情対に陥った。

「単独行動をすることを誰が許した!」

高遠先輩が怒った。


自分だってするくせに。


「しばらく署で反省しろ。帰るぞ」

 高遠先輩が、あたしの腕をとった。

 あたしは、とっさに高遠先輩の手を振り払った。

 軽く拒否された高遠先輩が、少し驚いた顔をみせた。

「嫌です」

「欄」

「私、今回は、自分でケリをつけたいんです」

「欄っ!」

「なんでダメなんですか?どおして、私には情報教えてくれないんですか?先輩達が教えてくれないなら、自分で探すしかないじゃないですか!・・・あたしが、ちゃんとしてれば大山先輩も、あんなケガしなくてすんだのに。私、悔しいんですよ!なんで、仕事させてくれないんですか!」

 あたしのありったけの声を振り絞った。

 高遠先輩の顔を見ることができなかった。

 ただ、下唇を噛み締め、目線をどこに固定すればいいか、悩んだ。

「欄」

 高遠先輩が、あたしに近づいた瞬間に、遼が突然あたしをかばい、高遠先輩の首に手刀をくらわした。

 高遠先輩が、突然ガクンと崩れ落ちた。

「遼!?高遠先輩!」

 あたしは、慌てて高遠先輩に近寄ろうとしたが、遼に手を捕まれた。

「犯人捕まえるんじゃないのかよ。あいつは大丈夫だ、手加減したから」

 そう言ってる間に、今度は、苫利先輩が来た。

 遼は、苫利先輩のみぞおちに一瞬で当て身を入れた。


苫利先輩弱すぎです。


「遼!」

「大丈夫だって言ってるだろ?!行くぞ」

 そう言うと、遼はあたしの手を更に強く握ると、あたしを引っ張って行った。

 2人の先輩は、未だに立てずにいた。

「先輩!高遠先輩!苫利先輩!」

 自分から単独行動起こしたのに、端から見たら、まるで誰かに連れ去られてるように見えた。

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