加納欄の記憶喪失 シリーズ5
 祥子先輩と話しをしてる時の大山先輩の表情はいつも笑っていた。

あたしと一緒の時は・・・?


無理してたのかな。


そういえば、祥子先輩にはあんまり、暴力団の所とか、危ない場所には連れて行かないよね。


あたしは、当たり前のように連れてって、当たり前のように、乱闘に巻き込まれて・・・。


でも、何にもなくて・・・。


ナンニモナクテ?


期待してるわけじゃない。


期待して、何かをしているわけじゃない。


でも、期待もされていない気がする。


全て当たり前のように扱われている。


「欄、着いたぞ」

 遼の言葉にハッとした。

 どこか、地下の駐車場だった。

 たくさん、車が止まっていた。

「どこ?」

「俺ん家」

「え?」

遼の家?

「何しに来たの?」

「オイオイ、飯食いに来たんだろ?」

「遼の家でご飯食べるの?」

 い~から来いって。と、肩を捕まれ、そのまま歩かされ、エレベーターに乗った。

 行き先は、最上階だった。

「遼?」

「いいから黙って」

 と、突然あたしの唇に遼の唇が触れた。

「先に、食っちゃった。ご馳走様」

「遼っ!」

 あまりに突然で、怒る事も何もできなかった。


き、気をつけないと(-.-;)


 遼はさらに、あたしの手首を掴み、指を絡ませ壁に押し付けた。

「な、何?」

 平静を装ってみた。

 遼の真剣な瞳が、あたしに向けられた。

 遼の瞳から、目が外せなかった。

 ただ、遼はあたしを見た。

「遼ぉ?手を、はなして・・・」

 あたしの心臓が、ドキドキし始めたのがわかった。


これ以上見つめられたら・・・(>_<)


 そんなことを思っていたら、遼の顔がゆっくり近づいてきた。

「嫌なら逃げろ」

 と、囁かれた。


待って!


待って!!


 遼の顔は更に近づいてきた。

 遼は、キスする瞬間、1度止まると。

「目閉じて」

 と、言った。
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