加納欄の記憶喪失 シリーズ5
「遼、こんなに食べれないし、お金払えないよ」

「遠慮すんなよ。欄に食べさせたくて作ったんだから。デザートくらい食えるだろ?オーギョーチー好きだったろ?」

「好き」

 中華料理のデザートの中では、オーギョーチーが好きだった。

 点心を堪能して、オーギョーチーを食べて口の中をさっぱりさせた。

「おかわりは?」

「もういいよ。けっこう食べた」

「じゃ、満腹したところで本題に入るか」


本題?


あぁ、事件のね。


「あれは、いいよ。遼を巻き込むわけにはいかないもん。自分でやるって、高遠先輩にも言っちゃったし」

「犯人を知ってるかも。って、言ったら?」

「え?」

 その瞬間、目を開けていられないほどの、睡魔に襲われた。

 頭を左右に降った。

「どした?」

「ん?うん、ちょっと・・・」


ダメだ・・・。


「さすがに効き目が早いな」


え・・・?


りょ・・・お?


「なん・・・で・・・?」

 あたしは、意識がもうろうとするなか、遼の顔を見た。

 遼は、あたしを無表情に見つめていた。

 罠だと気付いた時は遅い。

 あたしは、椅子から崩れ落ち、深い眠りにおちた。




 気付いた時は後ろ手に縛られていた。

 どこに連れてこられたのかもよくはわからないが、数人の男達があたしを見ていることはわかった。

 部屋は、ラブホテルみたいな作りだった。

 あたしの格好はなぜか、下着の上に白の大きいワイシャツだけという、どこぞの男が好みそうな格好をしていた。


ちょっと、何にもしてないでしょうね!


 少し身の危険を感じてみた。

 あたしの着ていた洋服はご丁寧にハンガーに掛けられ、壁に吊るされていた。

「気がついた?」

 数人の男のうちの1人が話しかけてきた。

 声は若かった。

「どういうつもり?悪ふざけが過ぎない?遼はどこ!?」

「遼?誰?なんか知らないけど、おたくを好きにしていいんだってさ。だから、そうさせてもらうよ。金ももらっちゃってるし、ごめんね」

 そう言って、男達はベルトに手をかけたり、洋服を脱ぎ始めた。


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