加納欄の記憶喪失 シリーズ5
「馬鹿なことやめなよ。遼!どこかで見てんでしょ!?」

 あたしは、立ち上がって、どこかで様子を伺っているであろう遼に向かって怒鳴った。


ベッドの上だと動きにくい!


 あたしは、ベッドのバネを利用してジャンプし、まず手近にいた男に向かってキックをした。

 手を封印されてるから、足しか使えないんだけどね。

 キックをされた男はそのまま壁に勢いよく倒れ頭を打ち崩れた。

 その様子を見て、他の男が怒った。

「なにしてんだよ!」


それはこっちのセリフですっ!!


「あんた達ねぇ、女が黙ってると思ったら大間違いなんだよ!いっつも弱い女にこんなことして犯罪犯してるんでしょ!」

「野郎!」

 1人の男が殴り掛かって来た。


隙だらけよっ!


 あたしは、向かって来た相手に左足を軸にして右足で勢いよくみぞおちに蹴りを入れた。

「うっ」

 と、男は倒れた。


あと3人!


あ~!!手が使えないのがもどかしぃ~!


 2人倒されて残った男達も少しは頭を使ったようだ。

 いっせいに向かって来た。

 右肩と左肩と足を捕まれ、ベッドに押し倒された。

 右肩に激痛が走った。


いっ!!!


な、治ってないのにぃ。


 あたしは、とりあえず両足を掴んでいた男から、片足を抜き取ると、そのまま男の咽に蹴りを入れた。


まずいっ!


 とは思ったが、手加減なんてしてる状況じゃない。

 だいたい、手加減なんてしてあげる奴等じゃない。

 自業自得だ。

 右肩と左肩を押さえてる男達は。

「何なんだよ、この女!すぐやれるんじゃなかったのかよ!」

「知るかよ!おいっ!ちゃんと押さえとけよ!」

 と言って、左肩を押さえるのをやめ、慌てながら、自分のパンツを脱ぎにかかった。


まだ懲りないかぁ~!!!


 一人であたしを押さえないといけなくなった男は、ありったけの力であたしの両肩を下に体重をかけた。

「ウワァ~(>_<)」

 肩のあまりの痛みに、思わず声をあげてしまった。

 理解していない肩を押さえてた男は、突然の叫び声に驚き、一瞬肩から手をどけてしまった。

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