加納欄の記憶喪失 シリーズ5
 とっさに振り向いたが、意識がモウロウとして、そのまま意識を失ってしまった。




 気が付いた時は、病院のベットの中だった。
 うっすらと目を開けると、祥子先輩が除き込んでいた。

「ここ・・・」

 少しダルサも感じた。

「病院よ。気分はどお?大丈夫?丸1日寝てたのよ」

「・・・痛いですけど、大丈夫です」

「そう。骨に異常はないみたいよ」

「そうですか・・・大山先輩は?」

あたしは、祥子先輩に聞いた。

「あ~、大山さん?うん、欄ちゃんと同じよ。まだ、目が覚めないの。ま、大丈夫でしょ?死ぬタマじゃないって」

 祥子先輩は、わざと明るい声をだしてくれた。

「襲ってきた犯人の顔って覚えてる?」

 祥子先輩はスケッチブックを取り出しながら質問してきた。

「襲って・・・?ヤクチュウ男のことですか?逃げたんですか?」

「ううん。ソイツなら捕まえた。篠塚恭吾26歳前科ナシ。大の字にひっくり返ってたから現行犯逮捕」

「それじゃあ、襲ってきた男って・・・」

「そ、アイツ以外に欄ちゃんを襲った奴がいるのよ。篠塚は薬持ってこないなら、何も話さないって黙秘してるみたい。薬がきれかかってるみたいだから大変みたい。ね、顔見てない?」

 祥子先輩に説明を受けながら、あの時の事を思い出そうとしていた。


無線機取って、救急車要請して、話しして・・・ガーン!って・・・。


振り返った・・・?


誰がいた・・・?


男・・・?


だったような・・・。


だから、あの人が戻って来たんだと思ってた。


あの人以外の人・・・。


体格は何となくうろ覚えで覚えてるような・・・。


顔は・・・。


顔を思い出そうとすると、どうしても顔の部分が黒く塗りつぶされたように、何もわからなかった。

「ごめんなさい(__)」

謝ることしかできなかった。

「謝る必要なんてないわよ。思い出したら言ってよ。か・な・ら・ず、地獄に落としてあげるから」

「・・・」

「欄ちゃんが起きたなら、大山さんも起きるかもね。ま、相当ひどくやられてはいるみたいだけど。様子見てくるわ」


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