Comfortable
あたしは自分を落ち着けるために深呼吸をして狙いをゴールに定める。


・・・その時。


「あ、ちなみに負けた方が勝った方のいう事聞くってことで」


体育館に響く楽しそうな刹那の声。あたしは思わず力が抜けそのままボールを投げてしまった。


勿論、そんなボールがゴールに入るわけもなく体育館に虚しくあたしが投げたボールの音だけが響いた。


「結花・・・」


苦笑気味に言う美月の声・・・。


「春原アウトー。んじゃ次俺の番だな」


そう悪戯気に微笑むと刹那はボールをドリブルしながらゴールの近くに行く。


「ちょ、今のナシでしょ!」


あたしのそんな声も虚しく刹那は真剣な表情を浮かべボールが手から放たれる。


ばしんっと音と共に綺麗にシュートが響く。


静かな体育館にボールの落ちる音だけがあたしの耳に残った。


「はい、俺の勝ち。何聞いてもらおうかなー」


楽しげに言う刹那にあたしは信じられないという表情していたと思う。


「ちょっと!刹那まともに練習出てないのにどうしてフリースロー入るのよ」


あたしがそう言うと美月があたしの傍に来て言った。


「あ、そっか。結花は知らないかもしれないけど近くの公園にリングがあるの。そこで刹那の場合放課後とか練習してるよ」


「なにそれ・・・」


あたしがそう言うと刹那はニッコリ笑いながらあたしの隣に来た。






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