Comfortable
「んー、まぁ簡単に言わせて貰うと・・・」


少し躊躇ったように言う刹那。
あたしはそんな刹那に疑問を感じながら「うん」と言った。


「あのさ、俺。春原の事好きなんだよね。だからお前が悲しんでるところ見たくないんだわ。だから、悪いけどお前の心貰うから」


曖昧な口調とは違う刹那の真剣な表情。あたしは突然の事で頭がついていかなく倒れそうだった。


「俺のこと好きになってもらうから覚悟しとけよ」


そう言って刹那はボールを美月に投げるとそのまま去っていってしまった。


体育館に残されたあたしと美月。


「嘘・・・でしょ?」


あたしがそう呟くと美月は少し寂しそうに微笑みながら言った。


「気づかなかったんだ?刹那の気持ち」


美月の言葉を聞いてさらにあたしの頭は混乱した。

でも、あたしはそんな美月の言葉より美月の寂しそうな表情が残った。

どうかしたのかな・・・?


普通に考えたら刹那のさっきの告白?は冗談だと思う。

そう、普通に考えて冗談。

でも、さっきの刹那の表情・・・。とても冗談とは思えなかった。

あたしはそんな考えを消去するために首を振り気にするな、あたしっ!そう心の中で呟きボールを体育倉庫に片付けた。
< 20 / 44 >

この作品をシェア

pagetop