Comfortable
「は?耳まで可笑しくなったの?あたしは散々侮辱の言葉を言ったのですが…。っていうか、あたしの下の名前呼ばないでよ」


あたしが立ち上がりながら言うと刹那も急に立ち上がり、あたしの手を掴み抱き寄せた。


気付けば、あたしは刹那に後ろから抱き着かれていた。


あたしより背が高い刹那…。


一瞬自分の身に何が起こっているかわからなかった。


「刹…那?離して……?」


刹那から離れようとしても刹那が力を込めているから全然離れる事ができない。


「嫌だ。俺は、お前が悲しむ姿を見たくないし、無理に笑うのも見たくない」


彼はあたしの耳元で囁くようにして言う。


そんな時………


タイミングよく予鈴が鳴り響いた。


刹那はチャイムの音を聞くとあたしから離れて早々とあたしを置いて階段を降りていった。


あたしはと言うと状況が全く理解できなくて頭がくらくらしていた。


一体、刹那はどうしてあたしを抱きしめたのか……?


後、朝の体育館での事は冗談なのか……。


気がつけば頭の中は刹那の事ばかりで失恋した事も‘彼’と出会うまですっかり忘れていた。
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