Comfortable
「美月と上手くやりなよ?」


あたしがそう言うと笹山は少し寂しそうな表情を浮かべながらあたしに言ってきた。


「仲辻は俺を見てないよ。陸斗を見てる」


笹山の発した言葉の意味が理解できなくてあたしは数秒間停止状態になった。


「え?美月は刹那が好きなの?」


あたしの疑問に笹山は頷いた。


「でも、そんな話聞いたことないよ?」


美月とよく恋の話はするけど、美月の口から好きな人の名前が出たことは一度もない。


「仲辻ってさ、自分のことに鈍感なんだよな。陸斗からメール来ないと寂しがったり、今日の昼飯だって陸斗がいなくなった途端すごく寂しそうだった」


そう言われてみれば、心当たりがないこともない。


2ヶ月ぐらい前から美月はずっと刹那とメールをしてるみたいだった。


それに朝の体育館での美月の寂しそうなあの表情。


まさに恋する乙女っていう表情だった。


めんどくさがり屋の美月がメールをするなんて珍しいなと思ったけどまさかそんな理由があったとは思わなかった。


「3角関係なんだね…」


あたしがそう呟くと笹山は「4角関係の間違いだろ」と言ってきた。


「え、おかしくない?だって、刹那と美月と笹山の3人だから3角関係じゃんか」


あたしがそう言うと笹山は大袈裟な溜め息をついた。
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