Comfortable
「悠はどうする?」


刹那は笹山に聞いていた。


笹山は荷物を詰める手を止めずに「俺は今から部活だから行かない」と言っていた。


「んだよー。悠も春原もキャンセルかよ」


つまらなそうに言う刹那にあたしは苦笑しながらごめんねと言いそのまま教室を出て行った。


靴箱まで行き上靴からローファーに履きかえる。


あたしは、ゆっくり歩きながら家まで帰った。


家の近くの公園で幼馴染の
片岡 樹 (カタオカ イツキ)
に会った。


「おや、結花じゃないですか。珍しく1人なんですね」


ニッコリ笑顔を浮かべながら言う彼は結構人気があるらしい。


幼馴染のあたしにまで敬語キャラな樹。


樹とあたしは学校が違うけれど生徒会の仕事で会うことが多い。


「あ、うん。今日は疲れたから。そっちこそいつもの取り巻きは?」


いつも樹の傍にうざいって言うほど居る取り巻きの女の子達の姿が今日は見当たらない。


「ああ、テスト期間中ですからね。まあ、いない方が楽ですよね」


そう言いながらネクタイを緩める樹。


ちなみに樹は紳士的でカッコイイと評判ですがそれは猫を被っているだけ。


「居ない方が楽って言うぐらいならその紳士キャラやめたら?所詮、猫かぶってるだけなんだから」


あたしがそう言うと樹は少し考え込むようにしてあたしに言ってきた。


「学校で何かあった?」


彼はあたしの目を見るように聞いてきた。


「別に、なにもないけど?」


あたしがそう言うと樹は不満そうにあたしを見てきた。


公園にはあたし達以外にも小さな子供達がいて、キャキャと可愛らしい笑い声が聞こえてきた。




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