Comfortable
もし、笹山が言っていた通り・・・
美月が刹那を好きだとしたら、今日の体育館での刹那の発言は絶対に胸が張り裂けそうなぐらい悲しかったはず。


それに、今日の刹那のあの行動・・・
訳がわからなかった。


考えたくもないのに何だか頭は刹那の行動と笹山の言葉でいっぱいになる。


どれが本当のことなのかはわからない。


刹那のあの行動が冗談なら、全ては笑って片付くけれど・・・。


あの真剣な刹那の表情を見たからには冗談とは思えない。


「何考えてるか知りませんけど大丈夫ですか?」


隣から聞こえてくる落ち着く声。


「え・・・?」


あたしがそう聞き返せば、樹は少し溜め息をつきながらあたしを見た。


「何だかすごい悩んでるみたいですから。結花っていつも1人で何か抱え込む癖が昔からあるので見てるとすごい危なっかしいんですよ?ただでさえ、学校が違うから結花が何で悩んでるか予想すらできませんし・・・」


樹の表情は本当にあたしを心配そうに見ていた。あたしはそんな樹に微笑んだ。


「あはは、大丈夫だよ。あたしはそこまでバカじゃないから。それに1人でなるべく解決したいんだ。心配してくれてありがとね、樹」


これ以上、樹に心配かけたくないのが本音だけどこの気持ちに嘘はない。


それに今、この問題を考えるにも情報が少なすぎるから無理に決まってる。


こうなったら明日学校で美月に直接聞くしかないのかもしれない・・・。


あたしは刹那のことを好きじゃないって言えば嘘になる。


刹那は友達としての好きでそれ以上のことは絶対考えれない。


「なら、いいんですけど。はい、鞄。まあ、話したくなったらいつでも来て下さいよ」


気が付けばもう家の前で・・・


樹があたしに鞄を渡してくれた。


「樹、いつもありがとねっ、んじゃ、またっ」


あたし達はそう言ってそれぞれ家に入った。



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