Comfortable
「あ、ちょっとあたしこのプリント職員室でコピーしてくるね」


さっき、真綾から貰ったプリントを美月に見せながら席を立ったあたし。


「ん、いってらっしゃい」


美月はそう言って微笑んだ。


あたしが廊下に出た時、刹那に呼び止められた。


「春原!生徒会忙しいんだな。俺、手伝うことあるかっ?今日さ、一緒に帰れる?」


刹那はあたしの横に並びながらたくさん話しかけてくれた。


言うなら、今かもしれない。あたしの選択肢。


これで、正しいんだ、間違ってない・・・。


「あのね、刹那・・・」


あたしは少し深呼吸をして口を開ける。


廊下は登校中の生徒達でにぎわっていてうるさいはずなのに、何故かあたしと刹那がいる空間だけすごく静かに感じた。


「ん、何ー?」


刹那は少しあたしに微笑みながら首をかしげた。


あたしは決意を込めていつもより真剣な声で言った。


「あたし、しばらく君と関わりたくない」


刹那の目を真剣に見ながらいった言葉。


そのまま言い捨てて逃げようとしたけれど、それは刹那の発した言葉で不可能になった。


「意味わかんねぇんだけど?」


刹那もいつもより低いトーン。刹那の表情を見れば怒っているようにも見えたしカナシそうにも見えた。


あたしは刹那の目をずっと見つめたまま言葉を発した。


「あたし・・・君と関わりたくないの。だからもうあたしに近づかないで」


あたしの言葉に刹那は大きく目を広げ大きな沈黙が2人の間に広がった。


これでいいんだ・・・。


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