Comfortable
「___春原!」


あたしの所まで来た男子。


あたしの元彼の親友、刹那 陸斗(せつな りくと)


聞き覚えのあるいつもの優しい声であたしの名前を呼んだ。


あたしは我にかえり慌てて涙を手の甲で拭き笑顔を作った。


「あれ、刹那どうしたの?バスケ部と生徒会は?」


あたしがそう聞くと刹那はあたしがいる前の席の机の上に座った。


「それより、何でお前・・・。悠と別れたんだよ?」


今、一番触れてほしくない話題を聞いてきた刹那。


さっき話に出てきた悠とはあたしがさっき別れた彼氏。


笹山 悠(ササヤマ ユウ)のこと。


「・・・・が。笹山はあたしのこと好きじゃなかったからだよ・・・」


あたしが答えた言葉に目を大きく開けて驚いた様子の刹那にあたしは呆れたように言った。



「刹那も知ってたら教えてよ・・・。笹山が好きだったのはあたしじゃなくてあたしの親友の美月だったって・・・」



あたしの発する一つ一つの言葉に刹那は落ち込んでいる様子だったのがわかった。


なんで刹那が落ち込んでいくのかがわからなかった。


あたしはもう話すのでさえしんどくなってきたから黙った。


教室は再び静寂を取り戻し静かになった。


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