Comfortable
「春原、お前のその言葉は絶対本音じゃねぇだろ?俺達にはわかるんだよ。お前と結構長い間付き合ってきてたから」


会長の言葉にあたしは書類を拾う手を止め会長を見上げた。


「春原 結花って奴はそんなこと思う奴じゃねぇよ。周りの人間のことを人より1倍考え込んでいてすぐ色々な事に気が付くいい奴だ。少なくとも俺はそう思ってる」


会長の発言にうんうんと頷く真綾。


「それにさー、結花は人1倍不器用で、でも全部の事に全力で取り組んでるじゃんか。そんな結花がそんな自己中心的な考え方をしてる訳がない」


真綾と会長の言葉にあたしは少し涙がでそうだった。


どうして?


どうしてこんなあたしを皆は守ってくれるの?


自己中心的で人を傷つける言葉を言ってたあたしにどうしてこんなにも優しいの?


「春原、何をそんなに溜め込んでいるのかはわからねぇがその荷物1人で背負い込む必要ねぇんだよ」


会長はそう言ってあたしの頭をポンッと叩いた。


その手が温かくてまだあたしの居場所があるような、そんな感じがした。


「そうだよ、結花っ。刹那と何があったのかはわからない。でもあたし達でよければ、相談に乗るからさ」


真綾はあたしをギュッと抱きしめながら言ってくれた。


あたしは、そんな2人の言葉に涙が出てきて大泣きしてしまった。


もう、こんな人の優しさに触れ合えるとは思ってなかった。


なのに、会長や真綾はあたしを優しく包み込んでくれた。


それが単純に嬉しかった。


< 42 / 44 >

この作品をシェア

pagetop