Comfortable
「で、刹那は何の用でここに来たわけ?」



あたしは下を向きながら聞いた。


実際、1人で居るのは辛かったから居てくれるのには少し安心感があった。


でも、しばらく一緒に居てなんて可愛い台詞をあたしが言えるはずもなく冷たい言葉を彼に言った。



「悠が凹んでたから理由聞いたら春原に振られたって言ってたからさ」


彼は少し戸惑ったように言いながら言った。


刹那の言葉であたしはつい30分ぐらい前の記憶がフラッシュバックした。


・・・・______



「ねえ、笹山。あたし達別れよっか」


放課後の人気の無い廊下。


あたしは本当に好きな人に自分から別れを告げた。


「え?春原・・・。いきなりどうかした?」


驚いたように言う表情の笹山。


「ん、あたし気づいてたんだ。笹山は優しいから、あたしと付き合ってくれたんだよね。告白したあたしを振って気まずくなるのが嫌だからっていう理由で」


あたしがそう言うと笹山の表情が曇りだした。


あたしは泣くのをこらえながら言葉を続けたのを今でも覚えてる。


・・・とは言ってもつい30分ぐらい前の出来事だから当然かもしれないけれど。



「あたしそんな理由で笹山を縛りたくないの。それに笹山は美月が好きなんでしょ。だったらあたし達さ、お互いのために別れよう」


自分で言ってるのに・・・・胸が張り裂けそうなほど痛い・・・。


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