Comfortable
「悠と別れて良かったのか?」


予想もしなかった質問にあたしは面食らった。


別れてよかったのか?って聞かれたら答えはもちろん"NO"


そんな質問をしてきた刹那の表情は真剣だった。


こういう時はきっと「君に関係ないでしょ」とか「そんなのわかんない」って言うのが普通なんだろうけど・・・。


適当に誤魔化そうと思ったけれど刹那の表情があまりにも真剣すぎて言い訳を考えてる暇なんてなかった。


・・・適当に言わなきゃ


・・・別れても平気な振りしなくちゃ


頭でそんな考えばかりが頭をよぎる。


あたしは溜め息をつきながら言った。


「その質問の答えになるかはわかんないけどさ。あたしは本当に好きだった。だから別れたんだよ」


少し笑いながら言うあたしに刹那は少し戸惑ったような表情をした。


あたしはそんな彼から目を逸らした。


その時、刹那があたしに何か言おうとしていたけれど今のあたしにそんなことを聞く余裕はなくて彼の言葉を遮るように言った。


「さーて、生徒会室行って仕事してこよっかなー。会議もう充分遅れちゃってるから会長に怒られるかもしれないしね。ほら、刹那も生徒会役員でしょ?早く行くよ」


あたしはニッコリ笑いながら言う。


小さい頃からずっとしてきた作り笑顔と作った性格。


そして誰にも弱いところを見せない強がり。


ずっと自分の本音に気づいてもらえなかったあたしはどんどん自分を作っていく技を作り上げていく。


いつの間にかどれが本当の自分かわからなくなるぐらい・・・。


あたしの本音は誰にも見透かされない。


誰にも読めない。


・・・そう思っていたのに。
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