Comfortable
「作り笑顔見てるこっちが辛いからさ無理に笑わなくていいから」


あたしの頭の上にポンッと手をのせながら言う刹那。


「なにそれっ・・・」


あたしは小さく呟くと彼は優しく微笑んだ。


「もう、あたしなら大丈夫だよ。そこまで弱くないんだから」


相変わらずでてくる強がり・・・。


声が震えないように頑張ってだした声。


そんなあたしを見て彼は少し寂しげな表情をした・・・のは気のせいかな?


「んじゃ、生徒会室行くか。俺、会長にお前連れてくるように言われてたし」


刹那はぐっと背伸びをしてあたしの方を見て言う。


彼のそんな仕草にあたしは微笑みながら「うん」と言って彼の後を追いかける。


「あ、その前に顔洗わなくて大丈夫か?」


刹那はあたしの顔を見ながら言う。


「え?」


「涙の跡がくっきりついてる。もう、泣きたい時は無理して泣くの堪えるのやめろよなー」


少し悪戯っぽく微笑みながら言う彼にあたしは膝蹴りを食らわした。


「お前・・・なあ・・・」


膝蹴りをした場所を痛そうにさすりながら笑う刹那。


「刹那、ありがとね」


あたしはお礼を言った。少し恥ずかしくて顔が赤くなるのを感じた。


「春原がお礼を言うなんて珍しいこともあるんだなー。録音しとけばよかったし。なんなら、もう1回言ってくれる?」


携帯を取り出しながら言う彼にあたしは「バカ!顔洗ってくる!」そう言ってトイレに向かった。


後ろから「ここで待ってるなー」という彼の声が聞こえた。
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