‡不思議な彼は雨男


振り返ると、



そこには“雨男”が立っていた。



去年会ったときよりも背が高くなった気がする。

「…レイン?」

「返事を聞きに来たんだけど…」

彼は言いながら苦笑した。


「‥遅くなっちゃったね。」


「ねぇ、なんで梅雨の間だけしか会えないって教えてくれなかったの?」

何故か涙が出そうになったのを必死にこらえて、私はレインに訴えた。


「いや、言い出せなくて。‥実はこの姿で地上にいられるのは梅雨の間だけなんだ。

…雫、怒ってる?」


「怒ってるー。」


レインは珍しく困惑した表情を浮かべた。


私にはそれが可笑しくて涙はひっこみ、思わずくすくす笑っていた。
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