高校生マフィア02
「っ!!」

振り返ると、



「…大丈夫?タイミング悪かったかな」

「…いや、大丈夫。御免ね」

私よりも少し背の低い花田ユウキが私を見上げていた
さっきまで慧と喋っていたから吃驚(びっくり)した

「私に何か…」
「いやー、大した事じゃないんだけどね」
「?」
「大学、おめでとう」

隣に立って何を言い出すかと思えば
余りにも普通の事で、一瞬言葉を失った

「…あ。有り難う。花田さんは頑張ってね」
「うん。頑張るよー。有り難うー」

「やっぱり凄いなぁ。うちのクラスの子よりも勉強出来るし。素行も良いし」
「私よりも花田さんの方が頭も評判も良いのに」
「そうかなぁ」

言葉を交わす事は3年間で何度か有った
やっぱりこの子は分からない
爽樹の様に天真爛漫かと思えば、急に卓真の様に計算高くなる
悪いイメージでは無かった。誰にでも明るく接する事が出来るし、先生方の信頼も厚い。嫌な顔1つせずに生徒会の仕事を全うしていたし

もしかしたら、こんなタイプが1番厄介なのかもしれない




「あ、昼休み終わっちゃう。次、うちのクラス被服室なんだ。じゃあねー」
「………」

手を振り返すと、笑顔で走っていった
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