相合傘
ぼぅっと外を眺めていると、アキが俺の隣から同じ様に外を覗き込んだ。
「気になるっていうか…知りたいかも」
「同じじゃねぇか」
ポスッと頭に軽くチョップをくらって、俺は頭を摩った。
時計を見れば、午後の3時半過ぎ。
そろそろ夕飯の為に、買い物でも行きますか。
俺はカップを手に取ると、流しへ持って行った。
「買い物行ってくるけど…、一緒来る?」
でも、下にあの黒スーツがいるから…
「ごめん、遠慮させて?」
答えは、予想通り。
あの黒スーツの人たちがここら辺をうろつく様になって、アキは出掛ける時はいつも女装。
おまけに合コンには一切行かなくなった。
何で、そこまですんだろ。
犯罪者並…って、もし犯罪者だったら、
俺ヤバくね…?
これって、犯罪者匿った事になる…よな?
あ、でもあの黒スーツ、警察じゃなさそうだし…。
…もしかして、刑事?
刑事があんな黒いスーツビシッとバシッと着て捜査なんかすんのか?
いや、するんだったら一般人に紛れてするだろ…、普通。
自分からあんな目立った格好して捜査するようなことはねぇと思うし…。
悶々と考えながら、俺はショルダーバッグを肩に掛けた。
ま、明るいから変な人とかいないだろうし、近くのスーパーだから、アキがいなくても大丈夫か。
「じゃ、ちょっと行ってくるね」
「ん~、いってらっしゃい」
ひらひらと手を振ると、アキは直ぐに手元の雑誌に目を戻した。
そういや、最近経済の事を書かれている週刊雑誌をよく読んでいるな…。
…エロ本じゃなくて。
まぁ、今のところ実際に読んでいるところ見たことないけど…。
そういや、学部は経済学部だったよな?
3年半後の就職のことでも考えてんのかな?
そりゃぁ、御偉い事で。