死に神の涙
「あの、苅麻さん」
「ん?」
「呪術って得意ですか?」
「そこら辺の奴らには負ける気しませんよ?」

死に神だしとは言えない。

「テストで実技があるんですけど、いまいち上手く行かなくて…」
「何をするの?」
「空中に火を五分間維持するんです」

苅麻が指を鳴らす。
すると指の先から青い炎が上がった。

「おぉ!」
「このくらい簡単だよ。まずはやってみて」

鞠子が指を出す。
一瞬火柱が上がったが直ぐに消えてしまった。

「成る程…じゃぁ良いことを教えるよ。言魂って分かる?」
「ことだま?」
「各々が話す言葉には昔から魂が篭ってると言われてる。じゃぁ、呪術は何故出来る?」
「空気中にある呪力と自分の気を合わせて初めて呪術が出来るって書いてありましたけど…」

苅麻が頷く。

「正解。君の場合は気が足りないみたいだからそれを言魂で補うんだ。今から教える言葉を心の中で言いながら呪術を使ってごらん」

苅麻が耳打ちをする。
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