死に神の涙
「今の言葉に意味なんてあるんですか?呪文にしか聞こえなかったんですけど…」

そりゃそうだと苅麻は思う。
今教えたのは死に神の言語。
言魂の一番強力な奴だ。理解出来る筈が無い。

「良いからやってみ。百聞は一見に如かず」

鞠子が再び指を出す。
すると前よりかは強く長い炎が現れる。

二人は嬉しくなりキャッキャッ騒ぐ。
それから小一時間。
事件は起きた。

苅麻がトイレから帰ってくるのと鞠子が火を出すのは同時だった。
その火柱はやがて成長し、天井に行くまでになった。

「ギャー」
「も、燃えるぞ!?」

店中は大パニック。
鞠子自身も火を弱めようとしたが、逆に大きくなる始末。
苅麻がいそいで火を消し呪術を使おうとした時、薄い膜が火柱を包んだ。
火柱はどんどん小さくなりやがて消えた。
この呪術は…

「ふぇぇ。火遊びは危ないですよ?」

苅麻が後ろを振り返る。
金色のロングヘアの女が旅行かばんを持っている。

「おかえり、七海」
「ただいまです〜」

七海が大きく腕を降る。
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