死に神の涙
莞爾が従業員室に向かう。
その後ろ姿を見ながら何か違和感を苅麻は感じた。
しかし何が?

「…ねぇ、莞爾君?」
「はい?」
「左腕…どうしたの?」

莞爾の動きが止まる。

「動いて…無いよね?」
「…やっぱり分かりますか。流石、宇佐兎さんですね」
「当たり前よ。お姉さんに見抜け無いものはないぞぉ〜?」

莞爾が左腕の服を捲くる。

苅麻と宇佐兎は固まった。

そこには

血まみれに

真っ赤に染まった

腕があった。


「ねぇ…何があったの?」

宇佐兎が泣きそうになりながら尋ねる。

莞爾はぽつりぽつりと話し始めた。
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