死に神の涙
「顔は覚えて無いの?」

宇佐兎が包帯を巻きながら言う。

「それが全く知らない奴で…」
「…なら本人に聞くしか無いみたいだね」

宇佐兎が立ち上がりポケットから紙を取り出す。
紙は長方形で、墨で文字が書かれている。

「何をするんで?」

苅麻が不思議そうに聞く。

「いでよ。式神」

宇佐兎が紙を放つ。
紙が床に着くと同時にぼんやりと影が現れる。

尖った鼻。

小さな耳。

服は着物。

茶色い肌が光で光っている。

その姿はどうみても

「狐!?」

莞爾が驚いた声を出す。

「この子はあたしの式神の稲荷なんだ」

式神か…。
苅麻が小さく呟く。
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