死に神の涙
莞爾には七海が来るまで待機してもらった。
流石にあの腕で仕事は出来ない。
七海なら…直せるはずだ。

病院に行こうものなら直ぐに警察に連絡が行く。
呪術を使った喧嘩は禁止されているからだ。

「何て言うか…予想外だわ…」

宇佐兎が小さく呟く。

「なにがです?」
「莞爾君はそこそこの呪術者なのにあんな怪我を負うなんて。ねぇ、まさか莞爾君が戦ったのって死に神なんじゃないの?」
「それは無いです」

苅麻は入って来た客に声を掛けながら言う。

「もし、死に神相手に本気で戦ったならあの怪我で済みませんから」
「じゃぁ…普通の人?」
「かなり呪術慣れしてますがね」

苅麻が水を運びながら言う。
それからの二人に会話は無く、七海が来るのを今か今かと待っていた。
< 25 / 60 >

この作品をシェア

pagetop