死に神の涙
「なんか凄いドラマティックですね…」
「七海達の知らない所でドラマは繰り広げられてたんだよ」

苅麻がおどけて言う。

「これが、俺と死に神界を繋ぐ物だよ」

苅麻が首の紐を引っ張る。
そこには青い色をしたオカリナがついていた。

「俺の母親の手作りなんだ」
「ほぇぇ〜。苅麻先輩は演奏出来るんですか?」

苅麻がゆっくりとオカリナに息を吹き込む。
小さな旋律が空に舞う。

その音は静かで

柔らかく

全てを包み込む。

苅麻の演奏が終わり、七海を見る。
なんと七海はベットに突っ伏して寝ていた。
二日間殆ど不眠で看病してたのを苅麻は知らない。

「ありがとうな…七海」

七海が気持ち良さそうに小さな声を上げる。
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