死に神の涙
サラリーマンが帰った後は商店街の知り合いが何回か来ただけで、店内は殺伐としていた。

「毎度毎度ですけど、人来ないですねぇ」
「まぁ、時間が時間だからねぇ。午後になれば人が来るでしょ」

苅麻が時計を見る。
時計の針は十一時を指していた。

「昼どうします?」
「どうしよっか。代わる代わるで食べに行く?」

苅麻は財布の中身を思い浮かべる。
……あんまり無駄使いする金は無いみたいだ。

「材料貸してくれるなら作りましょか?」
「おっ。珍しいね。じゃぁお願いしようかな」
「何か希望は?」
「ん〜。任せるよ」

苅麻がキッチンに入り、冷蔵庫中を見る。

喫茶店なだけにある程度の材料がある。
苅麻は材料と自分の料理の腕を頭で計算する。

苅麻は冷蔵庫から幾つか食材を出し、調理を始めた。
< 5 / 60 >

この作品をシェア

pagetop