死に神の涙
「わ!わ!ち、ちょっと苅麻君!どうしたの!」

流石の宇佐兎も酔いが醒めたみたいだ。

「莞爾が操られてます」
「ほぇぇ?」
「多分…実行者です」
「またなのね…。それで、どうするの?」
「宇佐兎さん達を安全な場所に運んだら…俺は行きます」
「あたしも行く!」
「ダメです」

苅麻がきっぱりと言う。

「今までは不可抗力でしたが、宇佐兎さん達を危険な目に合わせるわけにはいけません」
「やだ!行く!」
「ふざけるな!遊びじゃ無いんだぞ!?」

苅麻が思わず怒鳴る。

「…だって…あたしは…苅麻君の…事が…心配…で…」

宇佐兎が泣きそうになりながら言う。

「…スイマセン。…大丈夫です。俺がやられる訳無いでしょ?」

苅麻が優しく言う。

「絶対帰って来てね!絶対だよ!」
「大丈夫です。莞爾を連れて帰りますよ。…そしたら、また飲み直しましょう」

宇佐兎が小さく頷く。
苅麻は近くのホテルに二人を置いて、莞爾を探しに戻った。
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