死に神の涙
何十人の男が向かってくる。

「こいつぁ、やばいな」

飛んでくる火を弾きながら答える。
ふと、苅麻の横を何かか素早き走り抜ける。
その何かは持ってる扇子で男をどんどん倒していく。

「ちょ!稲荷!?」
『主から苅麻さんを助けるよう言われました』
「おいおい!分かってんのか!“式神が消された場合、負担は全て術者”にいくんだぞ!」
『それでも…主の希望です』
「っち…待ってろ!すぐ終わらせる!」

苅麻はリンに向き直る。

「って、訳だわ。悪いが本気で行くぞ」

リンが鈴の音を鳴らす。

Rin。

Rin。

その音がするたびに苅麻の頭が激しく痛む。
まるで過去のトラウマを全て掘り出すかのように…。

「…っち。しゃらくせえ!」

これ以上鈴の音を鳴らさないように苅麻は鎌を振るう。
鎌と棒がぶつかり合う。

Rin。

Rin。

再び鈴が鳴る。
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