死に神の涙
「どうですか?」
「ん…。これなら商品に出来るよ。後でレシピ宜しく」
「了解です。隠し味はマヨネーズですよ」

それから二人は無言で食べ続ける。
その沈黙は宇佐兎が破った。

「ねね、苅麻君は死に神でしょ?」
「まぁそうですけど…」
「さっきのテレビの言ってる事は苅麻君の事じゃないの?」
「多分そうですね。霊界が死に神界で、未確認物体が俺って所ですね」

死に神が何人か警察になっているのも苅麻は風の噂で聞いていた。
死に神の中にも人間と共存を望む者が居るから警察になる者が居てもおかしくない。

「ずばりさ、死に神ってどんな所?」
「ふむ…。この世界には科学があるじゃないですか?」
「火を付けたり、電気を使ったり?」
「向こうの世界にはそれが無いんですよ。すべて呪術でまかなわれてます」
「一回行ってみたいな〜なんて思ったりして」

宇佐兎が目を光らせる。
好奇心だけが宇佐兎の行動原理だ。
苅麻を死に神と知って雇ったのも好奇心からだろう。
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