つまり、愛



「何食べたい?」

「…アイスっ」

「了解。」


そう言って手を離さずに、歩き出した暁人くん。必然的にあたしも歩き出す。


今日で最後って日に、また知らない暁人くんを知った。


キミの手が、こんなにも暖かいこと。
キミの心が、こんなにも広いこと。


まだまだ知らない暁人くんがいるけれど、あたしは知ることが出来ない。




『キライ』


あの一言を聞いたから、デートもできたし、手の温もりを知った。

だけど明日がない。次がない。またね、なんて言えない。


聞きたくなかった。
知りたくなかった。



けど、


「どうした?しかめっ面してる。」

あたしを覗きこんで呟いた暁人くんを見る。


「何、なんかついてる?」

「ううん。見てただけっ」



それが大好きなキミの、全てなら。



「アイス、何味にしよっかな―」

「俺バニラ。」

「え―っ普通じゃん!」









あたしも、キミと同じ気持ちになる。


『キライ』


…努力をします。


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