つまり、愛




そっとあたしの手をどけた暁人くん。
あたしは必死で下を向く。


「こっち向いて?」

「~~っ」


勢いよくバッと顔をあげた。
暁人くんを睨みつけるように見る。


「ハハッ…可愛いな―お前。」

「なっ!な…」


好きな人に、可愛いと言われて嬉しくないわけがない。


きっと今のあたしはトマトみたいなんだろうな。

リンゴなんて可愛いものじゃなく、トマトであたしは十分だ。




「真っ赤…リンゴみたい。」

「…っ!トマトだし。」

「リンゴのが合うよ。」






キミは一体あたしをどれだけ夢中にさせるのだろう。

どれだけ好きにしたら気がすむのだろう。



それも、今日に限って。
こんなに大きくさせるなんて。



とんでもない男だね、キミは。



< 8 / 16 >

この作品をシェア

pagetop