つまり、愛
そっとあたしの手をどけた暁人くん。
あたしは必死で下を向く。
「こっち向いて?」
「~~っ」
勢いよくバッと顔をあげた。
暁人くんを睨みつけるように見る。
「ハハッ…可愛いな―お前。」
「なっ!な…」
好きな人に、可愛いと言われて嬉しくないわけがない。
きっと今のあたしはトマトみたいなんだろうな。
リンゴなんて可愛いものじゃなく、トマトであたしは十分だ。
「真っ赤…リンゴみたい。」
「…っ!トマトだし。」
「リンゴのが合うよ。」
キミは一体あたしをどれだけ夢中にさせるのだろう。
どれだけ好きにしたら気がすむのだろう。
それも、今日に限って。
こんなに大きくさせるなんて。
とんでもない男だね、キミは。