身長差15センチの関係 3
「それはもういいから動いて」
鈴璃に叱られる。
トレイを片手に叱る鈴璃も可愛い。
が、浸っている暇がない。
なんとかしなくては。
「このペースだと、午前中で品切れになっちゃうし」
「え?」
今度のつぶやきは、鈴璃の足をとめた。
つかつかっと、香織の間近によって小さな声で訊く。
「どういうこと?」
「模擬店の準備費の上限」
その一言で、鈴璃は状況を把握した。
模擬店を出すには元手がいる。
一部は学校から補助が出るが、
その他はクラスの生徒が少しずつ費用を出し合う。
その負担を常識の範囲でおさめるため、準備費の上限は厳しく決められる。
よって、一日あたりの食材の購入も限度がある。
つまり馬鹿流行りしている飲食店は、馬鹿みたいに早く閉店になる。