身長差15センチの関係 3
「ふうっ」

思ったよりも多く出た息に、

弓倉は、落雷の間、自分がずっと息を溜めていたことに気づいた。

そして手のひらが無意識に胸を押さえ、速まった動悸を沈めようとしていることも。

「まあ、職務には問題あるまい」

苦笑いする弓倉。
息をだけを整えて、周囲を見た。

高志はまだ来ていない。

あるいは既に一度来て、どこかをさまよっているのかもしれない。

弓倉は、高志が今にも上がってくるような気がして、自分が上ってきた階段の方をしばらく見つめていた。

そしてもう一度苦笑いが浮かび、
普通の笑みに代わって、

それを隠す。

見つめていた階段から、
本当に高志が姿を現すものだから。
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