白い月〜destiny〜
美月の家の近くの駅に着くまで僕達はずっと無言だった。

本当は今日は美月のアパートまで送るつもりでいたが それもできなくなった。

「それじゃ…。」

そう言って美月は車を降りた。

美月が角を曲がって見えなくなってから 僕は車を降りた。

自動販売機で缶コーヒーを買う。

足音がしたような気がして振り向いた。


美月…?


でもそこには誰もいない。

枯葉が風に吹かれて転がる音だった。


たった今運命を感じた女性を 自分の子供じみた感情で突き放したのだ。

木枯らしは僕の心の中にも吹き込んできた。



僕は…最低だ。

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