白い月〜destiny〜
12階のボタンを押すとエレベーターはゆっくり上昇を始めた。


「今日は朝まで徹夜だな。俺達の仕事が終わらない限り 他の部所も動けないからな。製造の奴らなんか きっと首を長くして待ってるぞ。」

「あぁ そうだね…。」

僕の様子が明らかにおかしいことに 宮川は気付いたようだった。

「お前…本当に大丈夫か?生気を感じないんだけど。」

「そうかもね…。」

僕は力無く笑った。


エレベーターは12階に到着し 僕達は自分の仕事場のドアを開けた。

部屋にはまだ誰もいなかった。

僕は鞄をデスクの上に放り投げると ぐったりと椅子に座り込んだ。


「実はさ…。」

< 149 / 374 >

この作品をシェア

pagetop