白い月〜destiny〜
宮川はうなずいた。

「そう。そのまさかだ。」


僕の顔は強張っていた。

「その…美月はいくつの時からここに?」

「生まれてすぐだよ。」

「生まれてすぐ…?」

宮川は悲しい目をしていた。

「美月は生まれてすぐ この教会の前に捨てられていたんだ。名前もついていない赤ん坊の時にな。」

僕はめまいがして立っていられなくなり その場にガックリと膝を落とした。



僕は…僕は何て事を。


美月の事をろくに知りもしないで 自分のエゴを押し付けたのか。


愛する人の心を この手で傷つけたのか…。



心配した宮川が僕の肩に手を置いたその時教会の入口が開く音がした。


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