白い月〜destiny〜
「それじゃ お父さんがくるまで私が手を繋いでてあげる そうすれば寂しくないよって…。小さくて柔らかい手だったよ。」


僕はじっと宮川の話を聞いていた。


「少したって心配した両親が俺を迎えにきたけど 美月は一人ポツンとブランコに乗っていた。その時俺の両親が言った。あの子はかわいそうな子なんだよってな。」

「かわいそうな子か…。」


僕にはその時の美月が見えるような気がして 胸が痛んだ。


「次の年 美月は俺と同じ小学校に入学してきた。俺はなんとか美月と仲良くなりたくて…あることを考えた。」

「ある事ってなんだよ。」

「美月と同じ係になることさ。ガキの考えることだからな。しかし…それにはかなりの勇気が必要だった。」
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