白い月〜destiny〜
優は私の手を離さなかった。

駅に向かう道でも 電車の中でも そして母の住む街に着いても。


「ここが お母さんの住む…。会おうと思えばいつでも会える距離にいたんだね。」

「美月。本当にいいんだね?」

「うん。」

私達はお互いの手に力を込めた。


優は私の持つ紙袋に目を留めた。

「それは?」

「これ?お母さんへのプレゼント。」

私が紙袋を軽く振ると 中でコトコトと音がした。

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