白い月〜destiny〜
母の家は高級住宅街にある大きな屋敷だった。


「ここだよね…。なんか圧倒されちゃうね。」

優もこの立派な家を呆然と眺めている。

「優…口開いてるよ。」

「えっ…ああ つい。」

「もう。頼りないなー。」

緊張を隠すように私は笑った。

でも…優がいなかったら私はこの家のチャイムを押す勇気が出なかったかもしれない。

「ありがとう…優。一緒に来てくれて。」

「僕が美月と一緒にいたかったからだよ。それだけ。」


優の優しい瞳が私の心を落ち着かせた。


私は心を決めて チャイムに指をのばした。

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