白い月〜destiny〜
それでも母は話し続けた。


母の姿は自分の体を切り刻むような痛みに満ちていた。


「部屋に一歩でも入ったら人を呼ぶ。そう言ったけれどあの男は容赦なく部屋に入ってきた…お前が愛してるのは俺のはずなのになんでだって…恐ろしい目だった。」

母の表情が歪んだ。

「そして…いきなり私を押し倒して…首を…絞めたのよ。私は必死で抵抗したけど駄目だった。あの男は私の口にハンカチをつめて…そして…そして私を…。」


私は涙をこらえる事ができなかった。

両手で口を押さえて 嗚咽を防ぐのが精一杯だった。

頭がおかしくなりそうだった。
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