白い月〜destiny〜
「あとは言わなくてもお分かりになるでしょう?…この事が回りに知れて結婚は破談になった…私の愛した人でさえも 私を軽蔑の目で見たのよ。」

「…。」

「間もなくして妊娠してる事がわかったけど誰にも言えなかった。回りが気づいた時にはもう産むしかない状況になっていた…だから仕方なくあなたを産んだのよ。人知れずこの家で。」


仕方なく…産んだんだ。

私は仕方なく…生まれたんだ。


母は私を冷たい目で見て言った。

「あなたが私のお腹にいる間…憎らしくてしょうがなかった。早くいなくなれいなくなれって毎日思ってたわ。」

私は息をするのも苦しくなり 空気でさえも重くのしかかる錯覚に陥った。

「お…お母さん…。」


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