白い月〜destiny〜
母は私に背を向けると冷たく言い放った。

「お母さんなんて呼ばないでいただきたいの。あの時から私は人目を避けて ずっと一人で生きてきたわ。私を不幸にしたのは…あの男とあなたなのよ。あなたの存在は苦痛以外の何物でもないわ。」


私は今にもその場で倒れそうになるのを 必死で堪えていた。

私の胸の中は悲しみの涙でいっぱいになり張り裂けそうだった。


「わかったでしょう?もう二度と…ここには来ないでちょうだい。」

「わかりました…。」

それでも私は最後に母を呼んだ。


「ごめんなさい…。お母さん…。」

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