白い月〜destiny〜
美月は俯いたまま僕の前まで来たが 顔を上げると明るく笑ってみせた。

「優。ただいま。」

「おかえり。」

僕も明るく言ったが 美月が紙袋を持ったままなのを見て悲しくなった。

渡せなかったんだね。

美月のお母さんに。


僕は美月の手をギュッと握って歩き出した。

美月が何を見て何を聞いたのか…。

美月が話すまで待とうと思っていた。

僕には美月の傷を受け止める準備はできているのだから…。

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